2010年5月4日火曜日

ジプシー思案





(TANGERに行った時の写真です。テーマとは関係ないけど・・・)
    (アラブだなぁ。)
  (コソバにて)



このゴールデンウイークはこの本にはまっている。

ジャンゴ・ラインハルト伝』 ジャンゴ わが兄弟

言わずと知れた20世紀前半 フランスが生んだ天才ギターリストだ。

かれはジプシーだ。

その本では、彼の生活ぶり、振る舞いが描かれている。

彼のその偉大な才能とは別に、とんでもない人だったのだ。

あまりにもとんでもないので憎めない。笑える。

Woody Allen の映画 ギター弾きの恋(Sweet and Lowdown)でショーン・ペンが演じた主人公
そのまま、いやそれ以上だ。


その中で、ジプシー特有の習慣が描かれていて興味深い。

ヨーロッパ全土にジプシーはいる。ルーマニアなどは人口の5%だそうだ。

フランスでは MANOUCHEというらしい。

スペインではGITANOと呼ばれている。

以前スペインの90年代のある時期 Guiterrez Sañudo通りに住んでいたが、そのお隣さんにジプシー一家が住んでいた。

すごく大家族だった。

子供たちはすごく生意気で、ずうずうしかった。当時乗っていたスクータをみて、
子供達が寄って来て、

「後ろに乗せてくれ。」ではなく「俺にバイク乗らせろだ

彼らの隣に住むのとてもやさしいろう者夫婦が、
あんな悪ガキどものいうこと聞くなとよく言っていた。

しかしそんな彼らに乗り潰した原チャリバイクを3万ペセタで売った。
そしたらもうあまり走らないのでいろいろと揉めてしまった。
最終的に向こうの良く太ったお母ちゃんがでてきて、2万ペテタ返して、1万ペセタということで、なんとか収まった。(とてもGITANO的)


日本に帰る2年前の夏 スペインの田舎町を夏の間廻るバンドマンの仕事をしていた。

そのバンドのリーダーが Israel Carmona という男だった。

彼いわく「おれはAntonio Carmona(Ketamaという90年代スペインでとても人気のあったバンド)のいとこだ。」 と言う。

あとでスペイン人の友達にいわせると、GITANO たちはすぐ誰々(有名人)のいとこだと言うそうだ。

(おなじような場面がジャンゴ伝の出てきて笑える。)

また本当にそうであっても、彼らは大家族なので、いとこだけで100人以上はいるだろう。

あのフラメンコギターリストTomatitoの家族がテレビで紹介されていたが、娘だけで、10人以上はいたぞ。

全てのGITANOがフラメンコができると限らない。

彼もフラメンコはできなかったが、ルンバを歌わせたらあのGITANO特有の声で絶品だった。



彼らは薪を好む。

でも僕はジプシーになれなかった。

そして日本に帰って来た。

セビージャでそんな風に生きている日本人を何人か知っているけど。

しかしこんな日本で真面目な生活をしていると何かしら自分の中に、非合理なあの情熱、狂気の存在を感じる。

ジャンゴ・ラインハルト伝』を読むと、何かめちゃくちゃだけど、ほっとする。



去年日本で5日間ほど流浪生活を体験してみたよ。

テレビも学校もない。げっ げっ げげげのげ (ネットも携帯も仕事もない)





はじめはとてもいやだった。ギターの練習できないし。なんか恥ずかしいし。寝れないし。

で、3日過ぎると慣れて来た。

不思議な感覚がおこる。

頭のなかにいつも同じ旋律が何回も何回も流れてくる。

何となくジプシーになったような。ないような?。